あなたはデスストランディングをプレイして、つまらないと感じた口だろうか?
それとも購入前につまらないというレビューを気にして、本稿にたどり着いたのだろうか?
あなたがどちらであれ、コンテンツというものはその面白さが「わかったもん勝ち」である。
つまらないと投げる前に、自身の楽しみ方が間違っていないか一考することで、突然面白くなる境地を見出すことだってあるのだ。
そこで「300人のホンネ」編集部では、実際にデスストランディングをプレイした男女43名にアンケート調査を行い、デスストランディングがなぜつまらないと言われるのか?について徹底調査をおこなった。
早速だが、本調査の結論はこうである。
▼本調査の結論
・デスストランディングは人を選ばず、それなりに楽しんだ人が多数派
・4人に1人はミュール(配達依存症)になるので注意
・ファストコンテンツのように消費するとつまらなくなる
・つまらない時は楽しみ方を変えてみるのが得
デスストランディングは人を選ぶと言われいるが、実態はそういうわけでもない。
以下、詳しく見ていくことにしよう。
デスストランディングは意外にも「平均的」と評価した人が最多
まずはデスストランディングの総合評価から見ていくことにしよう。
デスストランディングを実際にプレイした男女43名に5段階で評価してもらい、男女別にクロス集計した結果が下図だ。
まず男女ともにもっとも多かった評価が「ふつう(平均的)」という約40%からの評価で、「人を選ぶ」と言われた前評判に反して、好き嫌いが真っ二つに割れるということはなかった。
むしろそれなりに楽しんでプレイできたという男女が多数派であり、「神ゲーか?クソゲーか?」のような激しい票の割れ方ではないことは強調しておきたい。
また男性の回答に注目すると、「かなり好き/まあまあ好き」と好感した男性が54.2%を占め、低評価をつけたのは「やや苦手」のわずか4.2%しかいなかった。
一方で女性の回答に目を向けると、「かなり好き/まあまあ好き」と好感したのは36.9%と男性に比べ2割ほど低く、また「やや苦手/かなり苦手」と低評価をつけた割合が21.1%となった。
男女別に見ると、デスストランディングは男性受けがややよく、女性は5人に1人の割合でデスストランディングをつまらなく感じたことがわかった。
デスストランディングをプレイすると、主人公のサム・ポーター・ブリッジズの男臭さを感じざるを得ないだけに、この男女差はうなずける結果ではないだろうか。
これはデスストランディングに限らず、メタルギアソリッドシリーズも同じで、小島秀夫監督の世界観自体がハードで男臭いとも言えるかもしれない。
ではここからは、デスストランディングのさまざまな項目に関して掘り下げて評価を見ていくことにしよう。
デスストランディングのストーリーに関する評価
まずはデスストランディングのストーリーに関する評価から見ていこう。
デスストランディングのストーリーに関して、実際にプレイした回答者からもっとも多かった評価は「ふつう(平均的)」(39.5%)で、「やや良い」(34.9%)、「かなり良い」(16.3%)が続いた。
全体的に不評(「やや悪い」と「かなり悪い」)の割合が1割未満と低く、好評(「かなり良い」と「やや良い」)の割合が51.2%の過半数となっている。
詳しくは後述するが、デスストランディングのつまらない声には「ストーリーが複雑すぎてわからない」という声がある。
しかしながら、本調査の結果を見ると多くのユーザーがストーリーを楽しめている実態が見られる。
デスストランディングのグラフィックに関する評価
続いて、デスストランディングのグラフィックに関する評価を見る。
このデスストランディングというゲームの楽しみにおいて、グラフィックの重要性は高い。
結果は下表である。
結果は「かなり良い」と「やや良い」を合わせて、実に74.4%がグラフィックを好評していることがわかる。
もちろんノーマン・リーダスをはじめ実在の俳優等をモデリングした人物のグラフィックの精緻さも評価が高まった要因ではある。
ただ「過酷な大自然の中、たったひとりで荷物を運ぶ」という孤独や心細さを演出したり、また時には癒しとなるリアルな自然の描写も見落としてはならないポイントだ。
もしあなたが趣味で登山をするなら、このデスストランディングで描かれるリアルな風景に感嘆の声をあげずにはいられないだろう。
デスストランディングの世界観に関する評価
続いて、デスストランディングの世界観に関する評価を見る。
世界観も「かなり良い」と「やや良い」の好評を合わせると72.1%となり、高い水準の評価を得た。
デスストランディングは大災害により文明が荒廃し、分断された都市が舞台となっている。
これが近年の自粛期間に家に閉じ込められていた我々の状況と、ピッタリ重なり合うのだ。
好きなところに行けて、好きな人たちと過ごすという「当たり前」が、当たり前ではなくなった世界は、いま改めてプレイするとゾッとするほどリアルに感じられる。
こうした分断された社会を、荷物の運搬を通してたったひとりでつなぎ直すというゲームデザインは、デスストランディングをこれからプレイする人にも大いに刺さるだろう。
デスストランディングの操作性・UIに関する評価
続いて、デスストランディングの操作性やUI(操作画面)についての評価は下図だ。
「ふつう(平均的)」(46.5%)がもっとも多い回答となったが、操作性やUIは「違和感なく使えること」がいい状態であるため、これは実質的に好評と考えていいかもしれない。
また不評も16.3%と少ないので、ゲームの操作でストレスや難しさを感じたプレイヤーはあくまで少数派と考えることができる。
デスストランディングは「つまらない論」の信憑性チェック
ここまでを見てくると、デスストランディングは多くのプレイヤーにとって「平均以上」の評価をされており、特にグラフィックや世界観では高い評価をされていることがわかる。
では巷で言われる「つまらない論」は、なぜ生じるのか?
一部の声の大きいプレイヤーが目立っているだけなのか、それとも個別の観点ごとに見ると悪くないが総体になると悪くなるのか?
そこでデスストランディングのプレイ経験がある男女に、「つまらない」と言われている下記の観点についてどう思うか、を聞いてみることにした。
▼「つまらない」と言われるポイント
・ストーリーが複雑すぎてついていけない
・やることが作業ゲー
・ムービーが冗長
結論を言えば、総じてデスストランディングは、ファストコンテンツ(SNSの10秒動画や映画の倍速再生)のような消費をするからつまらなくなると言える。
詳しく見ていくことにしよう。
「ストーリーが複雑すぎてついていけない」は半数が同意
まず「ストーリーが複雑すぎてついていけない」という点では、半数のプレイヤーが「かなりそう思う」「ややそう思う」と理解を示している。
確かにデスストランディングでは、人類絶滅の危機とアメリカの再建という重厚かつ壮大なストーリーが展開する。
またなにより小島秀夫監督オリジナルの概念である、「対消滅(ヴォイドアウト)」、「カイラル物質」「ネクローシス」「配達依存症(ミュール)」など、特有の用語が連発することから「とっつきにくさ」があるのことは否めない。
ただし、これらは小島監督作品の味であり色である。
逆にこれがなければ、小島監督ファンにとってはカロリーオフのカップヌードルのような物足りなさを感じてしまうものなのだ。
「ストーリーも世界観もすごく作りこまれていて、ゲームを終わった時の達成感もすごいし、感動も大きかったです」(22歳、女性)
少なくともデスストランディングのストーリーは、ファストコンテンツ(SNSのショート動画など)として消費すると途端につまらなくなるので、腰をすえてじっくり向き合う必要があるだろう。
「やることが作業ゲー」も真っ二つ
続いて「デスストランディングはやることが単純で、作業ゲーのように感じてつまらない」というポイントについてはどうか?
こちらに関しても、半数のプレーヤーが同意をしている。
実を言うと、筆者もデスストランディングは作業ゲーであると思っている。
しかしそれが面白く、また快楽であると感じた。
やることは単に目的地への荷物の配達で、しかもゲームの初期では、なんと歩いて行くのである。
荷物を背負って歩いているサム・ポーター・ブリッジズ(主人公)の背中を、方向キーを押しながらずっと見守っているだけだ。
だが、それが面白いのだ。
これは「登山ってなにが楽しいの?」を説明するくらい難しいことだが、言ってしまえば登山も山を登って下りてくるだけの、極めて単純な作業ゲーだ。
しかし道中には険しい岩場があったり、心臓が破れそうなほどの登りが続いたり、山頂には絶景が広がっていたり、途中で食べるおにぎりや弁当が異常にうまかったり、下山して人里が見えてきたときには涙ぐみそうなほどの安堵感に包まれたりする、その過程が面白いのだ。
デスストランディングも、これに似た楽しみがある。
「ゲームの内容は確かに荷物を届ける事がメインですが、その過程をどうするかを考えたり、運ぶ荷物をどう積むか、そしてその道中の綺麗な景色を見たり、過酷な環境を体感したりと、やることは多々あります」(40歳男性)
目的地に向かって大自然の中をひたすら歩いていると、BTやミュールが行く手を阻んできたり、天候が荒れ始めたり、荷物や装備が壊れたり、ルートを外したりする。
こうして本当にこのまま歩みを進めていいのか?一回引き返すべきか?と、不安や孤独に苛まれた絶妙のタイミングで、心にしみわたるようなBGMが流れてきたり、ほかのオンラインプレイヤーの痕跡を発見して、元気をもらえるのだ。
デスストランディングは確かに作業ゲーではあるが、それがつまらないということにはならない。
むしろそのミニマルに反復する快楽を、丁寧にゲーム化したら楽しいんじゃないの?というゲームデザインこそがこのデスストランディングなのだ。
「ムービーが冗長」も半数が同意
続いてデスストランディングのつまらないポイントとして、「ムービーが長すぎる」という声がある。
この点についても、実際のプレイヤーは半数程度が同意している。
確かにデスストランディングのムービーは長い。
ムービーが始まると即スキップを入れるプレイスタイルの人にとっては、「一体何回スキップすればいいのか?」となるほど、ムービーも多い。
ところがゲームも終盤になってくると、これまでの謎が一気に解き明かされ、物語もどんどん盛り上がってくるので、まったく苦にならなくなる。
ムービーもまたファストコンテンツ的な消費をしてしまうと、ストーリーも追えなくなって一気につまらなくなってしまう。
そのため筆者はムービーが始まったらいったんコントローラーを置き、プレイ体勢から鑑賞体勢に姿勢を切り替えて画面を眺めるようにしていた。
コントローラーをもっていると早く操作したくてムズムズしてしまうが、置くようになってからムービーが楽しめるようにもなった。
ムービーは中盤から終盤にかけて、それまでの謎が解き明かされどんどん面白くなってくるので、それまで楽しみにしておくのがいいだろう。
総じて、デスストランディングのつまらないポイントに関するプレイヤーたちの評価は、票が真っ二つに割れることになった。
真偽をチェックするつもりだったが、結果がきれいな真っ二つだけに「結局のところ、つまらんのか面白いのか、どっちやねん?」と感じた方も多いだろう。
そこで次の章では、デスストランディングの魅力が垣間見えるデータをひとつ紹介したい。
デスストランディングの平均プレイ時間は84.9時間
今回調査したデスストランディングのプレイヤーたちに、プレイの総時間を回答してもらった。
その結果が、下図である。
まず総プレイ時間の平均は84.9時間とかなりいい数字になったが、上図の分布状況を見るとこれは一部のプレイヤーが平均値を跳ね上げたものと考えられる。
ちなみに本調査にて、もっとも総プレイ時間が長かったプレイヤーは560時間と、完全にミュール(配達依存症)化してしまった回答者が1名存在する。
またゲームにハマる/ハマらないのボーダーとして「100時間の壁」があるが、25.6%の割合がこの壁を突破している。
デスストランディングでいうと、メインのストーリ―のクリアでは飽き足らず、「全施設親密度5」や「すべての国道の建設」などの魔境に挑みし者たちのことを指す。
4人に1人が100時間以上プレイし、こうした魔境に挑み、ミュール化してしまったと考えると恐ろしい割合である。
一方で、デスストランディングは、少し寄り道しながら普通にメインのストーリーを進めていけば50時間程度でクリアできる。
そう考えると「1-25時間」と「26-50時間」の58.2%は途中で脱落したか、ムービーを全スキップして高速でクリアしたかのどちらかということになる。
ただしゲームのクリア率という水準であれば、これは悪い数字ではない。
というのも、ゲームのクリア率の平均は40%ほどで60%は未クリアのまま次のゲームを始めてしまう。
参考:げーむびゅーJP
となると、デスストランディングのクリア率は平均的で、かつ1/4は強くハマっていると考えると、十分に魅力的なゲームと考えることはできないだろうか?
デスストランディングがつまらない人は楽しみ方を変えてみる
最後にデスストランディングをプレイしたが、つまらないと感じてしまった人にひとつ提案がある。
それはデスストランディングの楽しみ方を変えてみるということだ。
ハッキリ言って、ゲームでも映画でも小説でも音楽でも、コンテンツというものはそのよさや魅力を「わかったもん勝ち」である。
せっかくコンテンツに身銭を切ったのであれば、つまらないと途中で投げてしまうより、最後まで味わい尽くしてやり切ったほうが圧倒的に得なのだ。
もちろん国道建設やジップライン横断などもそうした楽しみ方の一つではあるが、ここではそうしたやり込み要素とは異なる楽しみ方を紹介する。
1回の受注量を増やしてみる
デスストランディングでは、複数の依頼を同時に受注することができる。
例えば、メインのストーリーである「サム指名依頼」を進めるときに、同じ方向が目的地の「指名なし依頼」を複数受注という具合である。
これにより荷物の重量が大幅に増え、装備も入念に考える必要があり、難易度が格段に上がる。
大量の荷物を持っているときに時雨が降り出し、BTを感知したときのプレッシャーと、それを切り抜けたときの安堵感は筆舌しがたいものがある。
これをしても「作業ゲーで単調だ」と言えるかどうか、一度試していただきたい。
直登ルートを辿ってみる
さらに難易度を上げるために、「直登ルート」をあえてとってみるのも手だ。
直登ルートとは、目的地に向けて最短距離を一直線に進むルートのことで、縛りプレイのようなものだ。
途中で急流の川や急斜面に出くわすだろうが、迂回ルートをとらずに梯子やロープを駆使しながら、あえて直登一択である。
幸いデスストランディングでは、リザルト画面に最短距離からどれくらい迂回したか?を見ることができる。
この最短距離にできる限り近づけることを目標に配達をすると、より単調さは解消され途方に暮れる場面が何度も出てくるだろう。
リアルでトレッキング(登山)してみる
かなり思い切った楽しみ方だが、ゲームではなくあなた自身が登山に挑戦してみるというのも一手だ。
登山経験者とそうでない者とでは、デスストランディングの味わいがまるで異なると言ってもよい。
先にも触れたが「山に登って下りてくるだけの何が楽しいの?」という問いは、自身が体験してみない限りなんとも伝わらない。
そして下山したときには「登って下りてくるだけが面白いんだ」と実感できていることだろう。
幸いにも登山は、冬季でなければトレッキングシューズとリュックと無料のGPSマップアプリさえそろえれば、誰でも手軽に始められる趣味である。
500m未満の登山道がしっかり整備されている低山でも、初めてなら十分すぎる手ごたえがあるので、最寄りの山をリサーチしてぜひチャレンジしてみてほしい。
なお低山と言っても、山の標高に関係なく危険な場所は必ずあるので、こちらの記事も参考にしていただきたい。
「ウォーキング・デッド」を鑑賞してみる
「ノーマン・リーダスのファンなのでそれだけで楽しめました。ゾンビドラマの出演者がゲームに出ているのは不思議な感覚で面白かったです」(58歳女性)
主人公であるサム・ポーター・ブリッジズは、ノーマン・リーダスという実在する俳優をモデリングしており、この俳優はあの人気ドラマ「ウォーキング・デッド」の登場人物である。
ウォーキング・デッドはシリーズが11シリーズもあり、登場人物の入れ替えも激しい。
だがノーマン・リーダスは1シリーズの3話から最後まで登場し、しかも役どころとしては、かなりいい役だ。
筆者は時系列的には逆流パータンで、デスストランディングをプレイしてからウォーキングデッドを見始めた口だが、「サムが出てる!」とこれはこれで面白い。
2023年1月時点だと、ウォーキング・デッドはディズニープラスで全シリーズ見放題なので、おすすめしておく。
まとめ
以上のように、実際のデスストランディングプレイヤーの声に耳を傾けながら、つまらないポイントの信ぴょう性とつまらなく感じたときの対処法を見てきた。
本調査の結論としては、こうである。
▼本調査の結論
・デスストランディングは人を選ばず、それなりに楽しんだ人が多数派
・4人に1人はミュール(配達依存症)になるので注意
・ファストコンテンツのように消費するとつまらなくなる
・つまらない時は楽しみ方を変えてみるのが得
途中でデスストランディングを投げてしまった方も、またこれからデスストランディングを手にとるか迷っている方も、ぜひ一度プレイしてみてほしい。
アンケート実施方法
▼アンケート方法
・アンケート方法 インターネット上でアンケートを実施
・回答者数 デスストランディングをプレイしたことがある全国の男女43人
・調査日 2023年1月17~23日
・設問は単一選択式、および記述式
・調査主体 【300人のホンネ】編集部
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