「1000円カットでビシっとキマった髪型にしてもらうには、どういう風に頼めばいいのだろう?」
そんな疑問をお持ちではないだろうか?
実を言うと、1000円カットに限らず理容店や美容院でイメージ通りの髪型にカットしてもらえる頼み方というものが存在する。
本稿では1000円カットを利用したことがある男女193人だけでなく、理容師・美容師としてカットの実務を行っていた21人のプロたちに、カットのベストな頼み方について聞いた。
その調査の結果は、下記である。
▼本調査の結論
・カットの仕上がりは頼み方の影響が大きい
・1000円カットでのベストな頼み方は「画像を見せる」
・1000円カットの仕上がりの質は多くの利用者にとって許容範囲
本稿を読めば、1000円カットでも一般的な理容店・美容院に引けをとらない頼み方のコツがわかるようになる。
1000円カットへ自信をもって出撃する心の準備も整うので、ぜひご一読いただきたい。
カットのオーダーは仕上がりの満足度にかなり影響する
本稿の前提として、1000円カットに限らず理容店・美容院において、カットのオーダーの仕方がどれくらい重要か?について確認しておきたい。
そこでまず理容師・美容師としてカットの実務経験をもつ21名に、「お客さんからのカットのオーダーはどのくらい仕上がりに影響するか?」を聞いた結果が下図である。
一目瞭然の結果となったが、「かなり影響する」(47.6%)、「やや影響する」(52.4%)と、影響を認めている割合が100.0%となった。
裏を返せば、こうなる。
「とりあえず短めで」「いい感じにしてください」
というような乱暴なオーダーをしておきながら、仕上がった髪型を見て絶望するのは、利用者側にも問題があるということだ。
もちろん理容師や美容師たちは、カットや毛髪に関する専門教育を受けたプロである。
不足気味の情報の中でも、お客さんのイメ―ジを手探りしながら、工夫に工夫を重ねてくれる人たちである。
しかしながら、あなたは行きつけでもない飲食店に訪れたとき、
「あっさりしたやつ」
「おいしいのください」
などと、10人いたら10通りの解釈が生まれそうな注文をするだろうか?
1000円カットにおいても同じで、自身のイメージ通りの髪型にしてほしかったら、そのイメージを伝える努力を惜しんではならない。
では具体的にどのようにオーダーするのがよいのか?について、次章で見ていくことにしよう。
1000円カットで失敗しない頼み方は「画像を見せる」がベスト
結論からいうと、1000円カットで理想のヘアスタイルにより近づくための頼み方は、希望するヘアスタイルの画像を見せること、である。
これはカットする側の理容師・美容師からの意見としてもそうであるし、また利用者の満足度から言ってもベストな方法と言えることが明らかになった。
かつては雑誌の切り抜きをもっていくという、ややコストも手間もかかるやり方しかなかったが、スマートフォンが普及した令和の時代にそんなものは不要である。
1000円カットの店内で順番を待っている10分ほどの間に、「メンズ ヘアカタログ」や「女性 ショートボブ」などで検索し、理想的なモデルを見つけたらスクショしておけばよい。
もちろん自身が「今日はバッチリきまっている!」と感じたときに撮影しておいた画像でもOKだ。
あとはそうした画像をカットに入る前に店員さんに「こんな感じで」とひと言添えつつ見せればいいだけである。
「前髪は眉の上らへんにして、サイドは~」などと、逐一説明する必要もない。
ではこのカットのオーダーとして「画像を見せる」という方法がどれだけ有効であるか?について、詳しく見ていくことにしよう。
理容師・美容師側がイメージしやすい
まずはカットをする側である理容師や美容師に「お客さんのイメージにもっとも近づけやすい頼み方は?」という質問をしてみた。
その結果が下図である。
実に61.9%の理容師・美容師が「画像を見せる」を支持している。
実際に理容師や美容師たちの声を紹介すると、このような声があった。
画像を見せてもらうのが、一番わかる(40代男性、理容師)
目で見てこういうスタイルがいいとわかるので、1番イメージが掴みやすいです(30代女性、美容師)
自分の頭のなかにある理想的なイメージを他者に伝えるには、百の言葉より1枚の画像に勝るものなし、ということだろう。
実際に、「全体的に2cmほど切ってください」のような「カットするcmの指定」(14.3%)や、「長さは肩につくくらいで、前髪は眉毛が隠れるくらいでお願いします」のような「長さの目安の指定」(14.3%)も、よく使われている頼み方ではあるが、口頭で言葉による伝達のためか、振るわない結果となっている。
店内を見渡すとこれらの口頭でオーダーを済ませている人も多く見られるし、特に「カットするcmを指定」するのは具体的な指示で一見明確にも思える。
しかしながら、カットする側からすると
何センチは人によって結構感覚が違う(20代女性、美容師)
長さの指定だけでは全体的にどんな雰囲気のものを求めているのかとても伝わりにくいです(30代女性、美容師)
と不評の声も挙がっていた。
ここでは、理容師や美容師側にとって「写真を見せる」という頼み方の有効性が確認できた。
利用者側の仕上がりの満足度も高い
しかし一方で、カットする側が仕上がりを近づけやすいからと言って、必ずしも肝心のカットされる側が満足してるとは限らない。
そこでカットされる利用者側の満足度を聞いてみた結果が下図だ。
まずはオレンジで色付けした「満足した人の割合」に注目すると、「有名人の髪型を指定」した回答者が満足度100.0%と抜き出ている。
具体的には、
長渕剛のような髪型でと伝えています(40代、男性)
のようなカットの頼み方だが、回答母数が2名と少ないので、有効性は差し引いて考える必要がある。
また詳しくは後述するが、「有名人の髪型」という頼み方はカットする側からかなり不評なので、おすすめできない。
それ以外に目を向けると、「画像を見せる」が60.7%ともっとも高い満足度となっており、カットする側だけでなく、カットされる側にとっても有効な頼み方であることがわかる。
一方で、水色で色付けした不満度のほうを見ると「おまかせ」が50.0%と際立って高い。
おまかせしておいて不満を訴えるというのも理不尽な話だが、カットの頼み方としては避けるべき方法であることがわかる。
いずれにせよ、利用者側の仕上がりの満足度でも「画像を見せる」が有効であることが確認できた。
1000円カットで避けるべき頼み方
ここまでは1000円カットにおいて、理想のヘアスタイルに近づく頼み方について見てきた。
しかしながら、カットの頼み方で仕上がりがよくなるのであれば、仕上がりが悪くなる「まずい頼み方」も存在するということなる。
そこで理容師・美容師に「イメージに近づける自信がないカットの頼み方」について聞いてみたのが下図だ。
自身が1000円カットや美容院などで、うっかりやってしまっていないかチェックしてみてほしい。
前章で少し触れたが、もっとも理容師・美容師から不評だったカットの頼み方は「有名人の髪型を指定」(47.6%)だった。
理容師や美容師からは、こんな声が挙がっている。
髪型は近くできても頭の形や顔立ちによって変わるので、お客様のイメージに近づけるのが難しいです(40代男性、理容師)
有名人の髪型はハードルが高すぎる。期待させといて、鏡見せた時の絶望感はハンパない(30代女性、美容師)
人体模型を眺めていると「人間はみんなこんな形をしているのだろう」とつい考えてしまうが、実際はかなり個体差がある。
仮にファッション誌で一流モデルが着ている服をそのままセット買いしても、同じような雰囲気にならないことは容易に想像できるだろう。
それはヘアスタイルも同様だ。
また「カット方法を指定」(19.0%)が悪いオーダー方法の二番手となったが、これは意外に感じる方も多いのではないだろうか?
カット方法を指定されるとやりにくい(50代男性、理容師)
イメージが湧きにくいから(20代女性、美容師)
あくまで2割程度の割合なので、絶対に避けるべきという類のものではない。
しかし理容師や美容師から「やりづらい」という声が0.0%だった「画像を見せる」という頼み方を、ここでも改めて推奨しておきたい。
1000円カットの利用実態調査の結果
ここまでで1000円カットに訪れたとき、どのようにオーダーすれば自分の思い描くイメージに近いヘアスタイルになるのかが理解できた。
最後に1000円カットの利用実態について、軽く紹介しておくことにする。
男性は「月1」、女性は「不定期」が最多
まず1000円カットに行く頻度だが、男性は「月1回」、女性は「不定期」が最多となった。
ハッキリした男女差が見られた結果となったが、これは男性と女性で1000円カットの利用目的が異なることを意味する。
つまり、こういうことだ。
・男性→散髪(特に短髪の方)
・女性→メンテナンス
男性は通常のいわゆる散髪が目的だが、女性は「傷んだ毛先だけカットしてほしい」や、「全体を梳いて軽くしてほしい」などのメンテナンスが主目的となっている。
ヘアスタイルを変えたいときやカラーをしたいときは行きつけの美容院に行き、ちょっとした調髪では1000円カットを利用するという使い分けが女性にはあるようだ。
一般的な価格のカットと差を感じない人が約半数
また1000円カットといえば「早い・安い」のイメージだが、カットの質が劣るのでは?という懸念を持たれている方もいるだろう。
そこで1000円カットと一般的な価格帯のカットの差を聞いてみたのが、下図である。
男女ともに「ほとんど差を感じない」と回答した人が最多となり、「かなり差を感じる」人は男性で1割、女性で2割という結果となった。
一般的な価格の理容店・美容院とはやや違いはあるものの、安さを考えれば許容範囲というのが利用者側のホンネなのかもしれない。
1000円カットに対して「何をされるかわからない」という恐怖に近いものを感じている人もいるようだが、値段だけで判断するのはいささか早計といったところだろう。
1000円カットでも理容師・美容師との共同作業であることは変わらない
以上、1000円カットにまつわる調査結果を見てきた。
本調査の結論をおさらいしておくと、こうである。
▼本調査の結論
・カットの仕上がりは頼み方の影響が大きい
・1000円カットでのベストな頼み方は「画像を見せる」
・1000円カットの仕上がりの質は多くの利用者にとって許容範囲
これであなたも臆することなく1000円カットに訪れることができるだろう。
アンケート実施方法
▼アンケート方法
・アンケート方法 インターネット上でアンケートを実施
・回答者数 1000円カットを利用したことがある男女193名およびカットの実務経験がある理容師・美容師21名
・調査日 2022年9月15~19日
・設問は単一選択式、および記述式
・調査主体 【300人のホンネ】編集部
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