【300名調査】昔に戻りたい本当の理由は「後悔」。気持ちが前を向く「戻りたい昔」の調査結果

あなたが戻りたい昔はいつですか?

日常生活を送っていると、昔に戻りたいという思いにふと駆られることがある。

「昔はよかった…」などと独りごちるとなんだか後ろ向きな感じがしてしまうかもしれないが、昔に戻りたいと考えるのは何もあなただけではないし、あなたが弱いからでもない

まして昔のキラキラした思い出は、いつでもあなたが現実から逃げ込めるセーフティゾーンであるだけなく、あなたを癒し、情熱の火を心に宿して生きていくうえでのヒントをくれることもあるからだ。

そこで本稿では、昔に戻りたいという思いに駆られた男女300名を調査することにより、戻りたい「昔」について調査することにした。

本調査の結論は下記だ。

▼本稿の結論
・戻りたい「昔」は、学生時代が7割
・昔に戻りたくなるのはネガティブな状況に陥っているから
・昔に戻りたい大半の動機は「頑張りきれなかった」ことへの後悔

ちなみに今回のアンケート調査で300名から回答が集まるまで、1時間もかからなかったことを付記しておく。

つまり「昔に戻りたい」と思っている仲間は、あなたが思っている以上に多いのである。

本稿を最後まで読めば、後ろ向きだった気持ちが前を向くきっかけ得られることだろう。

目次

もっとも戻りたい「昔」は男性が「中学生」、女性は「高校生」

まずは「昔」といっても、具体的にどの時代に戻りたいのか?から見ていくことにしよう。

その結果が、下図である。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

もっとも戻りたい「昔」として、男性は中学生(25.0%)、女性は高校生(27.0%)が最多となり、微妙に男女差が出る結果となった。

また男性は中学生に続き、小学生(21.9%)が続いたのに対し、女性は高校生に続いて20代(20.1%)が続いたあたりを見ると、男性は「ややローティーン寄り」、女性は「ややハイティーン以上」の昔に帰りたがる傾向があるようだ。

さらに俯瞰すると、全体としては小~大学生の学生時代に戻りたい人が73.7%と、かなり大多数を占める結果となった。

一方で、今回の回答者の平均年齢は38.6歳ということもあってか、30代や40代に戻りたいと考える男女はかなりの少数派に留まった。

ひとまずここまでで大半の人は「学生時代」の過去に強く惹かれる傾向があることが確認できる。

では仮に昔に戻れるとして、一体人々は何を、どうしたいのか?について見ていくことにする。

戻れたら過去を変える人が9割

まず思い出や記憶、実際に経験したことは現在の自分を形成している重要なファクターであるが、昔に戻れるのであれば自身の過去を書き換えるつもりなのだろうか?

そのことを問うた結果が下図だ。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

「大きく変えたい」(42.3%)と「部分的に変えたい」(47.7%)とを合わせると、実に9割近い人が多かれ少なかれ過去を書き換えることを望んでいる

もちろん過去を書き換えるということは、現在の自分が別物になることにもなるが、それでも昔に戻って過去を書き換えることに積極的な人が圧倒的多数であるようだ。

昔に戻ってやりたいこと

では次にさらにこの点を深ぼって、昔に戻って一体何をするつもりなのだろうか?

昔に戻ってやりたいことを聞いた結果が下図だ。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

以下、詳細を掘り下げながら見ていくことにする。

もっとも多かったものは「勉強」および「進路変更」

もっとも多かった昔に戻ってやりたいことは、なんと「勉強」である。

「勉強」はほかのやりたいことに対して、倍以上の溝を開ける突出した結果となった。

ちなみにこの勉強がやりたいという希望は、次の「進路を変えたい」(13.7%)と近いところがあり、勉強を頑張った成果として、高校や大学、就職先を変えたいという希望につながってくる。

実際の回答者の声を紹介すると、このような感じだ。

「勉強をきちんとしてもっといい高校、いい就職をしたい」(33歳女性)

「将来に向けての勉強、資格取得、知識を増やす」(39歳女性)

「学歴など関係ない」という声をよく聞くようにもなったが、現実には大卒資格がないと採用の門戸すら開いていない企業も数多くある。

しかしそれを身をもって気づくのは、皮肉にも学生生活中ではなく、1社目を辞めて転職活動をしたときなのだ。

また大学生の就活にしても同じようなもので、自身がやりたいことではなく「比較的マシそうに見える企業」に就職していく学生が大半ではないだろうか?

日本の企業の採用活動が変というのは間違いなくあると思うが、「勉強」が昔に戻ってやりたいことの1位に挙がるのは、そうした制度の歪みを反映しているのかもしれない。

次いで「友達と遊ぶ」と「恋愛」

一方で「勉強」や「進路変更」のほかに挙がったものは、「当時の友達と思いっきり遊ぶ」(13.3%)と「恋愛」(11.3%)だった。

筆者も青春を完全にこじらせてしまい、修学旅行や文化祭など学校行事はおおむね欠席するという取返しのつかない失態を犯していた口なので、こちらはものすごくわかる。

実際の回答者の声を紹介すると、こんな感じだ。

「時間も気にせず、公園で駆けまわって友達と遊びたい」(26歳、女性)

「友達をたくさん作ること」(49歳、男性)

「大学のマドンナを口説き抜きたい」(68歳、男性)

社会に出てしばらくすると、友人関係の維持が難しくなっていくことに気づく。

就職を皮切りに、結婚、子育てとライフステージが変わると、旧友たちとの距離はさらにどんどん離れていき、ほんの一握りの友人しか残らないものだ。

そうした旧友たちとの隔絶観が、「友達と遊ぶ」という回答の裏には潜んでいるのかもしれない。

また「恋愛」においても、いま考えればどうでもいい些細な理由で気後れし、勇気が出ず、一歩を踏み出せなかった経験がある人がほとんどではないだろうか?

もし自分から一歩を踏み出せていたら、その中には実った恋もあったかもしれない。

片思いで終わった恋も甘酸っぱいいい記憶には違いないのだが、80年もある人生のわりには、誰かに思いを寄せ胸が苦しくなることなど、30代以降はほぼゼロ化してしまう。

10代や20代は、こと恋愛においては期間限定の特別な期間である。

もちろん恋愛には酸いも甘いも辛いも苦いもあるが、それを謳歌できる期間があまりにも短いことを知ったときには、おおむね時すでに遅しなのだ。

印象深い「昔に戻ってやりたいこと」

このような昔に戻ってやりことの中には、割合は低かったが強く印象に残るものがあったので、少しだけ紹介しておきたい。

特に印象深かったのは「家族と過ごす」と回答した5.7%の回答者である。

一見すると「せっかく過去に戻れるのに、なぜそんな地味で日常的なことを?」と思うかもしれないが、実際はここには壮大な物語が秘められている。

回答者の言葉を借りれば、こうだ。

「両親を離婚させないように努める」(40歳、男性)

「母にこの先ガンになると告げる」(46歳、女性)

まるでSFのタイムリープもののようではあるが、過去を変える動機としては非常に強く、また目的も明確だ。

「独立するまでは離婚しないで」とか「ちゃんと健康診断に行って」というたったひと言で、もしかしたら未来は大きく変わったかもしれない。

裏を返せば、私たちがここにいまある現在も、限りなく薄い偶然性の連続の上にあることを思わされる。

もっとも熱量が高いのは「仕事を頑張る」

またもう一つの側面として、どれくらい当時に戻りたいという熱量が高いのか?を示すデータを紹介しておきたい。

これは「昔に戻れるならどのくらいの財産を犠牲にできるか?」を問うた設問と組み合わせることで浮き彫りになる。

その中で「全財産投げうってでも戻りたい」という割合が最も高かったのは、「仕事をもっと頑張る」だった。

最近昔に戻りたいと考えたことがある男女300名の「昔に戻ってやりたいこと」の回答と、「昔に戻るためにはどのくらいの財産を犠牲にできるか?」の回答をクロス集計したもの。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

現在の収入状況と直結する問題のためか、「仕事をもっと頑張りたい」(57.1%)という人の半数以上が、全財産を注ぎ込んでも昔に戻りたいと願っている。

この割合は先ほど紹介した「家族と過ごす」(52.9%)よりも少し上回るほど、強い動機であることがわかる。

一方で、昔に戻ってやりたいこととして多く挙がった「勉強」や「進路の変更」に対して全財産を注ぎ込む人は1/4程度におさまった。

いざ昔に戻って勉強をやり直しても、実際に頑張り抜けるかどうかは不確定であることも全財産を注ぎ込むには値しないと考える人が大多数になった原因かもしれない。

総じて昔に戻りたいと願う本気度の高さは「仕事を頑張る」であった。

昔に戻りたい理由は「後悔があるから」が過半数越え

では話を戻すと、昔に戻りたい人のマジョリティは「勉強頑張って進路変え、よりよい人生を歩みたい」という本音がうかがえることを確認した。

となると、昔に戻りたい理由は自然と「後悔があるから」(54.0%)が最多になる。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

これは昔に戻ってやりたいことと地続きになっているので、感覚的にも理解できる。

改めて親に「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と念仏のように詠唱され続けてきた方が多いと思うが、もしかするとそう言っていた親にも同じような後悔があったのかもしれない。

一方でポジティブな理由のほうに目を向けて見ると、「人生の黄金期だから」(28.0%)や、当時を「再体験したいから」(5.0%)という理由があった。

実際の回答者の声を紹介すると、このようなものだ。

「東京に行ってダンサーになるためにバイトをしながらレッスンしてましたが一番人生をかけて頑張っていた時期でキラキラしてたからです」(30歳、女性)

「気力体力ともに充実していた時代で、もう一度その頃の楽しい思い出を体験したいから」(28歳、男性)

「バカな連中とバカやってて楽しかったから」(37歳、男性)

夢をかなえる人はほんの一握りかもしれないが、夢を追いかけて夢中になっていた日々は、のちに振り返るとやはりまぶしく見える。

また特に男性は共感がやまないと思うが、学生時代に友達とやったバカな遊びはなぜか記憶にこびりつき続ける。

このように昔に戻りたい理由は、ネガティブなものだけでなく3割程度はポジティブな理由も含まれる。

過去に戻ったらそのまま「帰ってこない」人が6割

過半数の人が後悔の念から昔に戻りたいと考えていることがわかったが、そうなると戻った過去でどのくらいの期間を過ごして元の世界に帰ってきたいか?を問うと、このような結果になった。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

もっとも多かったのは「現在には戻らずそのまま人生をやり直す」(50.0%)だった。

また大きく見ると、いずれかの期間を過ごして帰ってくる人が40.0%に対し、そのまま帰ってこない人は60.0%となり、二度と戻らない勢が上回った。

つまり多くの人は「昔に戻って、勉強を頑張っていい大学、いい就職先に入り、その人生を歩み続ける」というイメージをもっていることがわかる。

勉強を頑張った先に、本当によりよい人生が待っているかどうかは疑問だが、この令和の時代においても多くの日本人はこうした成功イメージをもっていることが浮き彫りになった。

また興味深いのは10.0%の「現在には戻らず当時をループし続ける」と回答した人で、この人たちは人生をよりよくしたいという志向ではなく、満ち足りていた思い出の中に生きたいと願う人たちである。

ある意味昔に戻りたいと願う夢の究極系と言えるかもしれない。

昔に戻りたいと思うタイミングはネガティブな状況が多い

では最後に、我々はなぜ昔に戻りたいという途方もないことに思いを馳せてしまうのだろうか?

そこでこのような思いに駆られる状況を聞いてみた結果が下図だ。

最近昔に戻りたいと思ったことがある男女300名の回答を男女別にクロス集計。インターネットアンケート。調査日2023年4月28日。

イヤなことがあって「落ち込んだとき」(24.7%)と「ストレス・疲れを感じたとき」(23.3%)を合わせると、48.0%となり約半数を占める状況だった。

これは後悔の念から昔を思い出し「勉強をしっかりやって進路を変え、人生を変えたい」と願う、というこれまで見てきた結果と符合するように見える。

一方で、街で楽しそうにしている学生たちとすれ違ったり、当時の写真や思い出の品に触れたときに、ノスタルジーに駆られる人たちも24.7%いる。

ただやはり大きく見ると、昔に戻りたいという思いに駆られるのはネガティブな状況にあることが多いようだ。

まとめ

以上が今回調査したレポートだ。

おさらいすると、本稿の結論はこうなる。

▼本稿の結論
・戻りたい「昔」は、学生時代が7割
・昔に戻りたくなるのはネガティブな状況に陥っているから
・昔に戻りたい大半の動機は「頑張りきれなかった」ことへの後悔

厳しい言い方になるかもしれないが、いまここにある現在はこれまでやってきたことの結果である。

しかし裏を返せば、これからの未来はいまからやっていくことの結果である。

もしかすると昔に戻りたいという思いが去来するとき、それは過去のあなたが「ここは頑張りどころだよ」と教えてくれているのかもしれない。

アンケート実施方法

▼アンケート方法
・アンケート方法 インターネット上でアンケートを実施
・回答者数 最近昔に戻りたいと思ったことがある全国の男女215人
・調査日 2023年4月28日
・設問は単一選択式、および記述式
・調査主体 【300人のホンネ】編集部

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